寒の地獄温泉は、年間を通して14度の冷泉が名物の、独特の入浴法が伝わる温泉宿です。 昔は冷泉のみの、温泉宿というよりは冷鉱泉が主体の宿でしたが、現在は沸かした温かいお風呂もあります。また、冷泉浴は毎年夏のみ、7月から9月までの3ヶ月間限定になっています。 関所の門のような趣のある入口をくぐると、中庭を囲むように本館などの低層の宿泊棟が並んでいます。歴史ある温泉ですが2001年にリニューアルしたので、ほどよい和テイストの黒川っぽい民芸調の宿になっていました。 門をくぐって、温泉の小川が流れる中庭を通るアプローチや、囲炉裏のある廊下など、清潔ながら田舎らしさがあって雰囲気がよかったです。 ![]() |
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1: 関所風のおしゃれな入口、どんな湯治風の古い宿かと想像していたので嬉しいびっくりでした。 2: 受付棟も民芸調の新しい建物でした。ロビーなど、どこかの居酒屋にきたような雰囲気です。 |
受付で入浴料を払って奥の冷泉浴室へ。まず温度を、と泉に触ってみると、とにかく冷たい! 普通の健康ランドなどについている水風呂が20℃前後ですから、14℃というのがいかに冷たいか想像できるかと思います。また、単純に温度が低いというだけでなく、含有成分による肌への刺激もあるそうです。 さっそく横の脱衣スペースで水着に着替えて入ります。温泉は、微かな酸味がある純粋な硫化水素泉で、源泉は浴槽の底、岩と砂の間あちこちから湧き出しています。湯底はきれいな緑色に染まっていました。 壁には「冷泉行進曲」なる不思議な歌がはってあり、それを詠んで気をまぎらわしながら何とか数分入りましたが、水風呂好きな私でも、これは修業としか思えませんでした。 |
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3: 冷泉の浴槽、一応男女用なのか、間に壁があって左右に2つ並んでいました。 4: 中庭を流れる小川は、硫黄成分で真っ白になっていました。 そしてさりげなく野菜が冷やしてあるのがいい感じ。 5: 冷泉浴槽の横には、飲泉用のスペースもありました。 この冷たさは飲むためならほどよく気持ちいいです。 |
しっかり浸かって体が冷えたら横にあるストーブ部屋へ。これで温まってまた冷泉、と繰り返して入ります。 が、ストーブ室が暖かいのものを想像していたら、単に小屋にぽんとストーブが置いてあるだけでそれほどで温かくもなく(普通はサウナのように熱いのではと思いますが運が悪かったのかも)、夏ならまだしも、冬はこんな冷たくて入れたのか不思議になりました(現在は夏のみです)。 ちなみにここは混浴でストーブに当たらないといけないので水着がないと入れません(かんたなTシャツ+短パンなどでも可)。乾かすことで肌に成分をしみこませる、という考えから、厚い生地やタオルなどを巻いて入るのはNGだそうです。みんな水着で入っていて、子供もなぜか多かったので、どこかのプールに来ているような雰囲気でした。 |
6: 大浴場は、石造りの浴室と、檜の浴槽と男女入れ替わりになっています。これは石切の湯のほうです。 7: しっかりと洗い場もありました。シャンプーなども常備で、修業浴の宿とは思えないきれいさぶりです。 8: 同じハイウェイ沿で近いお勧め日帰り湯、星生温泉・山恵の湯。 とにかく露天が広く温泉も4種あって素晴らしいです。 |
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冷泉で凍えたら、すぐ隣接した温泉棟へ。こちらは普通の男女別の内湯があります。 石造りと檜造りの浴槽がある2つの浴室があって、男女日替わりになっています。定員は5名ほどでそれほど大きな浴室ではないですが、石造りのきれいな浴槽で、40℃ほどのものと、少しだけ沸かしてある16℃ほどの水風呂がありました。このほどよい温度設定が絶妙で、この2つを交互に何度も入ってしまいました。これだけでも幸せです。 冷泉を加熱したお湯とは言え、沸かしてあっても十分いいお湯で、硫黄の香りと滑らかな肌触り、すべすべ感がありました。 以上、昔ながらの湯治場の雰囲気と、新しい和風旅館の雰囲気の両方を楽しめる素敵な宿でした。客室数が少ないのでゆったりとすごせるのもいいところです。 とにかく、冷泉を使った独特の温浴方法は一見の価値あると思います。それでいて大浴場などは新しくて、ちゃんとしたアメニティ類や家族風呂もなどもあり、湯治の宿だったとは思えない清潔さです。秘湯好きな男性にも、ほどよくきれいな旅館でまったりしたい女性でもどちらでも受け入れられる、それでいて比較的気軽な値段(1泊2食付で12,000~14,000円)で泊まれる、使い勝手のよい宿だと思いました。 <2005.7> |