壁湯温泉は、大分県と熊本県の境に接し、豊かな自然が残っているため町域の大部分が阿蘇くじゅう国立公園に指定されている九重町にあるひっそりとした温泉です。隣接する阿蘇郡南小国町には、有名な黒川温泉がありますが、この九重町にもあちこちに温泉が湧いています。大きな温泉街はないですが、ひとつひとつが自然と近い秘湯的な温泉地が多く、壁湯温泉もそのひとつで、緑の山に囲まれたこの福元屋が一軒とその横に公共の露天があるだけの静かな温泉です。そんな福元屋は、川沿いの天然洞窟風呂で知られており、また秘湯の会に登録されています。
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九重連山の西側387号線沿い、道路から川沿いに降りたところに福元屋はあります。 上段左 : 駐車場から宿へおりるアプローチのゲート。懐かしい民芸調、いい感じです。 上段右 : 道路から宿を見下ろした所。 |
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福元屋さんは、「おばあちゃんの家」がコンセプトの昔懐かしい雰囲気が漂う旅館です。 和風モダンテイストで統一された館内は、おしゃれすぎず、やぼったすぎず、ほどよく和める感じでなるほどおばあちゃんの田舎の家といった趣、私はこんな素敵な家に住むおばあちゃんはいませんが、日本人なら誰でも懐かしさを感じる共通の田舎屋のイメージなのでしょう。 |
入口横のロビーには囲炉裏があって、ここでまったりコーヒーを飲めば、それだけでとっても贅沢な気分でした。 上左 : お部屋の様子。どの部屋からも、横の川と緑を眺められます。 |
![]() | ![]() | 左 : 館内の廊下。梁などの木材が黒光りしていて素適 右 : 食事処 お食事はみな食事処で食べます。こだわりのお米や、地元で取れた素材を使った料理は、よくあるべたな温泉旅館の料理とは違い、素材をいかした素朴な料理でとても美味しかったです。 |
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お風呂は、名物の川沿い露天が2つ、貸切の内風呂が2つ、洞窟女湯が一つあります。 左 : これが名物の、川沿いの露天風呂(混浴)。 自然に川の水流でえぐられて洞窟のようになったくぼみ部分を300年ほど前に囲って浴槽を作ったそうです。元川底の湯底から、ぷくぷくと温泉が湧き出ている、足元湧出の源泉掛け流し、贅沢な温泉です。 |
お湯は無色透明の単純泉、なめらかな柔かいお湯で、温度はちょっとぬるめ、39℃で湧出しています。自然を眺めながらぼーっとするにはいいのですが、冬はちょっと寒いかもしれません。 洗い場や、脱衣所は特にありません。川を眺めながらぼーっと出来るのがよいし、雨の日でも自然の屋根(洞窟)なのがまたよいです。 また、すぐ横には公共の露天風呂もあります。 下段左 : 夜の露天風呂もまた風流。聞こえるのは川の音と虫の声、素適です!! 下段右 : 女性専用の洞窟風呂。 露天風呂の手前に、深く掘りさがったお風呂があり、混浴風呂に入りにくい人はこちらを楽しめます。暗くて狭いいので恐い!と感じるか、瞑想するのにいい、と感じるか、好みが分かれるところだと思います。ここもやっぱり温度はぬるめです。 |
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下左・中写真 : 貸切風呂、開いている時に勝手に使えます。どちらも2~3人入れる大きさ、造りも手作り感があって味があります。個人的には、屋根裏部屋のように天井が低めで斜めな切石の湯(左)がお気に入り。浴槽は、昔の蔵だった石材を使っているそう。
下右 : 外の露天風呂から川を見た所。小さい方の露天は、ほとんど川の一部になっています。流水量が増える時期は、きっと一体化してしまうんだろうな。 |
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下左 : 露天風呂(小)、洞窟風呂の横にあって、川との距離感はほぼ一体状態。 下右 : 派手さはなくてもしみじみと味のある夕ご飯、特になんでもないお米や漬物が美味しかったです。お米はわざわざ自作しているとのこと、やっぱり!と納得でした。 | ||
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旅館の規模、館内の落着いた懐かしい雰囲気、お風呂の造り、周辺の自然環境、そして1泊2食付で1万円前半で泊まれるCPなど、全体的にとてもよい宿だと思いました。接客もほどよい距離感で気持ちよく、常連さんが多いのも納得です。 本など持って行って何もせずのんびり連泊したい、そんなまったりお勧めの温泉宿でした。 <2005.7> |