乳頭温泉郷にある妙の湯は、温泉郷の中にあって比較的新しい温泉です。昔から湯治の湯だった黒湯温泉の手前にあり、黒湯に湯治に行く道中で発見された妙の湯には、2種類の温泉、金の湯・銀の湯が出ています(銀の湯は昭和27年から、金の湯は40年から)。 乳頭温泉郷は湯治宿がほとんど、田沢湖周辺は高原ホテル風な宿ばかりという中にあって、和モダンの新形態旅館はサービスや雰囲気重視の人に人気があり、平日でも3ヶ月先まで予約が埋まっているそうです。かなり新しい造りに、いつ頃改装したのですか?と聞くと、あちこち細かく常に新しくしています、とのこと。そのジャパニーズモダンな内装やさりげなく置かれた心憎い花飾りや天然水のサービスなどは、ふと熊本の黒川温泉を思い出しました。 ![]() |
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1: 入口を入ると、小さな囲炉裏と大きく生けた花、上がりの横には大きなテーブルと籐の椅子が。 フロントらしからぬパーソナルな造りがここの宿のコンセプトを現しています。 2: 名物の川を臨む露天風呂、妙見の湯、ここは混浴なので女性には入りにくいですが、 バスタオルはOKになっています。 男女別の浴場から行けるようになっているので、こそっと男性がいない間に行ってみたのですが、 かなり熱くてのんびりは入れませんでした。この写真は金の湯ですが、銀の湯露天もあります。 |
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3: 床・壁・天井すべて木造りの浴室には、総ヒバ造りの銀の湯浴槽と、4:半露天の金の湯浴槽が。 5: 和風ベースながら、モダンテイストを加えた客室はシンプルながら清潔感があり、 アメニティも充実しています。 6: 脱衣場も雰囲気がよく、陶器の洗い桶や籐の籠、お風呂前に天然水を置いてあるところ、 スリッパを消毒してくれる靴入れなど、本当にあちこちに気配りを感じます。 7: 食事処、もう1つのテーブル席の部屋もあります。横にはブナ林と川が。 |
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温泉は、銀の湯は無色透明の単純泉、金の湯はその名の通り、オレンジ色褐色に濁った酸性のマグネシウムカルシウム硫酸塩泉です。どちらも自然噴出で源泉掛け流し、宿の雰囲気だけでなくお湯もちゃんといいのでこれだけの人気になっているのでしょう。 オレンジジュースのような褐色の金の湯は、酸化鉄の色かと思いますが、濁り度合いも濃く、透明度は0.2ほど(水面から20cmで見えなくなる)。見た目は派手ですが、湯ざわりは滑らかで入りやすい温泉です。 |
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そのきれいな洗い場は、1人づつ仕切られて高い椅子があり、シャンプー類も2006年現在でメジャー化粧会社の業務シャンプーの中で一番高級ライン、POLAのアロマエッセだったし、どちらも東京の温浴では当たり前でも、この山奥で出てくるとおっ!と思ってしまいました。やはり女性は秘湯に行きたくても、なかなか都会のきれいな生活から離れがたいということでしょうか。 正直、この宿が黒川や箱根などにあったらここまで人気かというと、どうかなと思う所もありますが、やはりそれはちゃんとしたマーケティング分析があってこの形が出来ているわけで、以前は普通の湯治宿風だったのを、こういったモダン旅館に変えた3代目女将に先見の明には感心してしまいました。以上、とにかく普段の感覚で秘湯を気軽に楽しめる、とてもよい旅館だと思いました。 <2006.8> |