湯ヶ野温泉は、伊豆半島のほぼ中央南にあって、天城山中、狩野川沿いに旅館が並ぶ、しみじみとした温泉地です。 清流沿いに広がる静かな町には、10軒ほどの旅館がありますが、どれもこじんまりとした客室数5~30室の旅館で、お土産物屋などが並ぶ温泉街というものはなく、静かに自然と温泉を楽しむための温泉地です。 伊豆の踊り子の舞台として知られ、川端康成をはじめ、井上靖、島崎藤村、蒲原有明など、文人が多く訪れた温泉地でもあります。 そんな温泉街の中、川沿いにひっそりとある地元の公共浴場は、小説の中にも登場し、モデルの踊り子が入ったとされています。 |
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地元専用の看板。入りたい場合は、すいている時間に、挨拶をして入ってくださいとのこと。地元の人が交代で掃除していて、無料ですが、あまり観光客が入っていい雰囲気ではありませんでした(私もお湯を触らせていただいただけど、入浴は遠慮しました)。 ちなみに、湯ヶ野温泉の公共浴場では、旅館湯本館の近くにある「河鹿の湯」や「世古の大湯」が一般向けに解放されています。また、新しい日帰り温泉なら、天城温泉会館や、湯の国会館があります。 |
中は2つの浴槽と、大きな棚や黒板などがあるシンプルな浴室です。お湯は無色透明の単純泉のよう、さらっと柔らかい湯が掛け流されていました。また、壁に連絡事項が書いてあったり、掃除当番の木札がかかっていたりと、とにかく地元の人のための場所で、ここを見るだけで町民同士の結束が強いのがわかって、なんとも日本の古きよき集落という感じでとてもうらやましく思いました。
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