国見温泉は、世界的にも珍しい目の覚めるような若草色の湯が沸く駒ヶ岳中腹にある秘湯です。 宿は石塚旅館とこの森山荘(その途中に町営国見山荘は別源泉です)の2軒で、どちらも駒ケ岳登山客と温泉ファンに人気があります。 網張温泉や玄武温泉など沢山の温泉が集まる雫石の温泉地帯と乳頭温泉などが集まる田沢湖温泉地帯の間、盛岡と秋田の中間にあり、国道から入る道は冬は雪に埋もれて閉鎖になるので営業は5月上旬~11月中旬までです。 そんな山奥にある森山荘は、高原ロッジ風の造りで、道の一番奥に建っています。 |
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1: 山の中に浮かぶように建つ森山荘。新緑の夏もいいけど紅葉の季節も素適だろうと思います。 2: きれいな木造の男女別内湯、窓からは山々が臨めます。 また、この写真は早朝で浴槽に湯の花膜が張っているところ。(湯の膜については↓に) |
同じ国見温泉の石塚旅館が道路の山側なのに対し、森山荘は谷側に張り出して建っているので眺望が素晴らしく、登山客のために、早朝から朝ご飯をだしたり、お昼用のお弁当を用意してくれたりもする、アットホームなお宿です。
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この国見温泉の湯の三大不思議は、 ①とにかくこの鮮やかな色。最近の説では、多硫化イオンの黄色と、炭酸水素カルシウムによるレイリー拡散による青色(よく硫黄系の酸性温泉で青っぽく見えるのはこのせい)の合成で、黄+青→緑色になっているんではないか、ということでした。(写真3) ②静かにおいておくと、白い湯の花の膜ができる。これは重曹(炭酸水素ナトリウム NaHCO3)が飽和状態に含まれているため、静かにしておくと湯の表面温度が下がって、それが固形化するのです。朝起きてみたら、浴槽が本当に牛乳の膜のように真っ白になっていてびっくりしました。(写真4) ③鉄分のある温泉の後に入ると皮膚が黒くなる。偶然、ここから車で1時間ほどの乳頭温泉の妙の湯に入ってから行ったので、全身黒くなって炭鉱で働いた後のようになってしまいました。これは、ここの湯と妙の湯の鉄分が反応して黒い粉末、硫化鉄になるため。皮膚の細かい皺やつめの横など成分が残っている所が真っ黒で落とすのに苦労しました。(写真5) |
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6: 谷間と山々を望む混浴露天風呂。脱衣場は一応男女別になっていますが、 女性用脱衣に行くには浴槽横を通るので、男性が入っているとやはり入りにくいです。 バスタオルはOKとのことでした。 7: 眺めのよいテラス、森に浮いているような感覚でまったりお茶できます。 8: 森山荘は、なんとペット同伴することができます。 ペットと泊まれる部屋や食堂、ペット用露天風呂もあり、大型、中型犬専用と 小型犬専用の浴槽が別々にあります。もちろん国見の緑の湯がかけ流されています。 9: 湯底には、白いきれいな沈殿が。多分炭酸カルシウム(CaCO3)だと思われます。 10: 夜辺りは真っ暗になるので、逆に月や星がこんなに明るかったんだ、と感じるほど。 早朝登山もいいですが、温泉で温まったあとの夜の探索も気持ちよいです。 |
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やや蛍光色のような光を放つ若草色の透明湯の泉質は、含硫黄炭酸水素塩泉で石塚旅館横にある源泉をひいています。浴室は、男女別のヒバ造りの内湯が1つと混浴露天1つあります。 日帰り入浴は、入浴だけなら400円、追加料金で休憩用広間も使うことができます。 宿泊は、旅館部と自炊部があり、旅館部は1泊2食付で7000円代~、自炊部は2800円~、他にも素泊まり料金やライダー特別料金(なんと素泊まり1500円!)などがあります。キャンプ場もあったり、登山客やアウトドア派にはお勧めです。 以上、国見温泉の宝石のような若草色の湯と、国見峠の眺めを楽しめるお手軽な温泉宿でした。国見温泉というと石塚旅館の方が歴史も知名度もありますが、山を見渡す眺望は森山荘の方が素晴らしいので、逆にこちらに泊まって両方の宿のお風呂を楽しむというのも手だと思います。 <2006.8> |