鯖湖湯は、歴史ある飯坂温泉のシンボルともいえる公共浴場です。 飯坂温泉は、鳴子温泉、秋保温泉とともに、奥州三名湯のひとつに数えられていた温泉ですが、その温泉街の中には、この鯖湖湯だけでなく、十綱湯、仙気の湯、切湯、導専の湯、大門の湯、八幡の湯、天王寺穴原湯、波来湯という9つの公共浴場があります。 鯖湖湯は、大和時代、日本武尊がさはこ(アイヌ語)の地の湯に入った、記録があるほど歴史が長い飯坂温泉の発祥の湯で、以前は道後温泉のぼっちゃんの湯の建築より古い日本最古の木造公共浴場だったのですが平成5年に新しく改築されて現在の姿になっています。 |
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1: 町のシンボル鯖湖湯の隣には、お湯かけ薬師や給湯樽、弁天様などがあり、 町歩きの中心的広場になっています。 2: 飯坂温泉街の朝風景、摺上川とその両脇に並ぶ旅館 3: 現在の鯖湖湯外観、昔の建物のイメージをそのまま残したデザインだそう。 |
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お湯に体を慣れさせるべく掛け湯をすること約10分、やっと入ることができました。なかなか入れず掛け湯をしている私の横で、常連町民のおばさんたちは平気でざばざば入る入る、しかも「半身浴がいいっていうけど、肩まで入らないと入った気がしないよねー」ってな事を話していて、確かにおばさんたちは首までしっかり入っているのです。すごい!飯坂町民!とちょっと感動しました。 遠い昔から栄えてきた温泉町も、今はどこか古く懐かしいような斜陽的雰囲気の、昔とはまた別の意味で味のある町になっています。そんな中で、公共浴場が生活に密着しているとこが何より素晴らしく、どこかおばあちゃんちに帰ったような気分を味わえる貴重な温泉でした。熱い湯に浸かりながら、おばちゃんたちが繰り広げる日常会話に聞き入っていると、なんだか素朴でほっとする、ふと疲れたときにまた行きたいな、と思うみちのくの公共浴場でした。 <2004.1> |