孫六温泉は、田沢湖の北東、駒ケ岳や乳頭山の山麓にある乳頭温泉郷の7湯の中で一番奥にある一軒宿です。 黒湯温泉の川下にあり、黒湯と共通の駐車場から散策道を先達川沿いに歩いていくと、川向こうにぽつぽつと湯屋が点在する小さな集落のような孫六温泉がありました。 残念ながら、今は河川敷がコンクリートで固めてありますが、これが出来る前はまさに山奥の秘湯という雰囲気だったでしょう。今でも十分秘湯ムードが漂い、木造の古い小学校のような宿棟と雪が降ったらつぶれちゃうんじゃないかというような小さな湯屋が点在しています。 開湯はちょうど100年ほど前、宿泊は旅館部と自炊部があって電気は自家発電しており、こんな山奥にあって、通年営業しています。 |
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1: 孫六温泉全景、駐車場や黒湯からの来ると、先達川を渡ります。 2: 母屋の縁側でまったり。なんとなく林間学校に来たような、学校っぽい感じがしました。 |
孫六温泉には、4つの源泉があり、自然噴出しているその場所にあとから浴槽を作ったそうです。湯屋が微妙にばらばらに点在している理由に納得。湯小屋は、男女別の内湯「唐子の湯」、混浴の内湯、露天のある「石の湯」とその横に女性用の露天風呂もあります。 それぞれに造りやお湯も違っており、しかも天気のよってお湯の色も変わるそうです。内湯は、お湯が濁れば雨で、澄めば晴れになるということで、登山客が天気予報代わりに使われているとのことでした。 泉質は、単純硫黄泉ですが、ラジウムも含まれているそう。私が入った時は、露天が川と同じ色に青っぽく光る微かに濁った透明で、他は無色透明でした。どちらも硫黄の香のする滑らかな湯でした。 |
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3: 石の湯の横の露天風呂、広々していますが、湯に浸かってしまうと川は見えませんでした。 4: 露天風呂は、川と同じく青く濁っていました。なんとも不思議な色で、 川と同じ色というのも何か関係があるのでしょうか。また、川も水は青く、石は赤茶色く変色していました。 温泉が川にも流れていて鉄分が含まれているのでしょうか。見事なオレンジ色でした。 5: 女性用露天風呂の湯口は・・・。 たまーに子宝の湯とかいう名前で男性のシンボルが置いてある温泉がありますが、 ここで出会うとは。しかもその先から湯が出ているのには、ちょっとげんなり。 6: 石の湯の内湯は、大きな岩に屋根をかけた造り。脱衣所から見下ろす形も独特です。 7: 唐子の湯、シンプルなコンクリート造りで湯治仕様です。 |
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乳頭温泉の中で一番鄙びた宿、孫六温泉には1泊2食で9,000円前後で泊まれます。点在する湯をゆっくり楽しむには(そして女性で混浴を全制覇したいなら)、やっぱり泊まったほうがよいと思います。(料理は山菜や川魚を中心とした、素朴かつ滋養のあるお食事で結構美味しかったと友人談) また、通年営業しているので、あえて冬に行くのもいいのではと思いました。きっとアクセスは大変だと思いますが、こんな鄙びた宿で雪に埋もれて温泉に浸かったら、昔にタイムスリップしたような、映画の中にいるような世界を体験できるのでは、と思いました。 以上、とても鄙びた孫六温泉でしたが、秘湯好きならお勧めしたいし、それ以外ならあまりお勧めはできません。古い不便さ(そしてやや汚さ)を良しとするか、一緒に行くメンバーを選ぶ宿だと思います。そんなせいか、同じ乳頭の鶴の湯や黒湯温泉に比べて空いているのは魅力です。また、他の宿のような強烈な濁りや匂いのする温泉ではないですが、地味に力のある湯だなと思いました。 <2006.8> |