ヴァラデュディンスケ温泉は、ブダペストとザグレブを結ぶ高速ルートの国境近く、高速下りてすぐにある歴史ある温泉地です。 小さな田舎町といったほのぼの感のある町に現在はホテルが2軒あるだけ、レストランも数軒、娯楽は全くありません。空気もよく湯治にはぴったりです。 昔から温泉が使われていたこの村には、なんと1~4世紀に使われていた貴族用ローマ風呂の遺跡があります。また庶民用公衆浴場の建物も歴史的廃墟として残っていますが、今実際入浴ができるのはホテルミネルバのプールだけになっています。(遺跡には温泉が今も流れているので、自分で浴槽を用意すれば入れます) |
|
1. | 2. |
1: 長閑な町の入口、本当に可愛らしい東欧の田舎町です。 2: 今は閉鎖されている公衆浴場、町の中心にあります。蔦がからまっているところが素適。 |
車なら10分ほどで1周できちゃうんじゃないか、という位の小さな町の中心には昔の公衆浴所があり、その後ろ、丘の上に教会とホテル、ローマ時代の浴場跡などがあります。まずは目立つ教会の尖塔を目指せばよいと思います。 公衆浴場は閉鎖されているのですが、温泉は昔と変わらず湧き出ているので、浴場横に温泉汲み場がありました。見ていたら、地元の人がバケツに汲んでいったり、何かを洗っていたり、温泉を使うということが生活に普通に馴染んでいるようで、日本と同じだー、とほのぼの嬉しかったです。 |
3. | 4. |
3: ローマ浴場跡地、建物はぼろぼろですがまだ湯は普通に湧いていてます。 その様子が、人類文明の儚さと自然の恒常性の対比に見えてしみじみしました。 4: これが温泉汲み場、蛇口でなく、パイプから湯が流れっぱなしになっています。 |
町の中心に来ると、漂う温泉臭に感動します。ここの温泉は、硫黄泉でなんとなく万座温泉に似ていると思いました。目を瞑れば、まるで日本の湯治場にいるような腐卵臭です。 源泉口はあちこちにあるようですが、遺跡の湧き口では温度が50℃ほど、新鮮なために無色透明な湯でしたが、町中にあった貯湯場を見ると、青白濁のきれいなお湯でした。お湯に浸かれるのは、現在ホテルミネルバだけなのですが、運悪く改装中で入ることができませんでした。無念です。 |
5. | 6. |
5: 公衆浴場跡にあった表示、内容は 「それまで上宮(丘の上の浴場)を一緒に使っていた一般人と上流社会のゲストを分けるために、 1849年に下宮(公衆浴場)を作り、またその横に、一般人用の宿泊所を作った」とのこと。 現在町には宿泊所が2軒だけですが、その1軒ホテルミネルバが上の宿、 ホステルTonimirが下の宿ということになります。 6: 丘の上のホテルミネルバ、非常に大きなホテルですが、 それほど高級感はなく、湯治用ホテルといった感じです。 7: 湯貯まりにはきれいな水色濁の湯が。柵がなければ飛び込みたい! 8: 史跡は作業中だったので、徐々に整備していっているようです。 9: ここの温泉にきたら、是非寄ってほしい、世界遺産・国立公園のプリトヴィッツェ 素晴らしく青い湖や滝が広がるクロアチア版桃源郷です。 |
7. | 8. | 9. | ||
現在気軽に入浴できる施設はないですが、その温泉の質の素晴らしさと温泉町としての歴史を体感でき、個人的にはとてもお気に入りの温泉となりました。なんとも言えない、和やか、のんびりとした町の雰囲気が、ヨーロッパの田舎好きにはたまらないと思います。 ホテルミネルバは、長閑な田舎町にしては大きすぎる感がする施設で、正直それほど雰囲気がいいわけではないですが、湯治の宿として長期滞在者が多いようでした。大きな温泉プールは夏季のみ営業で、通年利用できる内湯プールがあります。あとひとつ、せっかくの眺望を楽しみながら入れるような温泉浴槽ができるといいのですが。 クロアチアの国境近くとは言え、首都から高速で1時間ほど、しかも高速降りてすぐの所にあるので、車なら非常にアクセスがよく、ふとドライブ旅行中に1日のんびりしたい、なんて時には便利な温泉だと思います。本当に何も娯楽のない田舎町ですが、ただひたすら温泉と散歩と読書と・・・と静かに過ごすには最適です。とにかくクロアチアでたっぷり硫黄を吸いこめる、温泉好きにも歴史好きにもたまらない温泉町でした。 <2006.10> |