西暦630年頃に始まったといわれる歴史ある那須温泉において、一番古くに発見されたのがこの「鹿の湯」だと言われています。那須の温泉神社近くにあって、今も湯治場の雰囲気が漂う木造の公衆浴場です。その歴史は長く、松尾芭蕉が「奥の細道」の旅の前半に立ち寄った温泉でもあり、殺生石の近くに「いしの香や 夏草あかし 露あかし」の句碑が立っています。 その昔ながらの風情と新鮮な白濁湯を楽しめるということで、常連客だけでなく観光客にも兎に角人気があって、休日などは混みあうこともしばしば。出来れば朝一番や平日の空いている時間に行った方が、独特の雰囲気を楽しめます。 |
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![]() | 温泉川沿いの木造平屋で、温度違いに4つの四角い木の浴槽と洗い場、女湯には新しく出来た大きな内湯があります。もうもうと硫黄の香りが漂う浴室内では、湯の酸性が強いので石鹸禁止(というか、石けんが泡立たない)、そしてシャワーもない、所謂お湯を楽しむための湯治の場となっています。 |
4つの浴槽は、温度別に41~46℃に分かれていて、奥にいくにつれてだんだん熱くなっています。さすがに46℃は慣れないと入れないほどの熱さ、常連さんらしき方々の独壇場になっていました。奥の大きな内湯では、浴槽脇に岩が積んであってその上から湯が滝のように流れるようになっています。また、白濁の硫黄泉には、沈殿した硫黄の黄色い泥が所々にたまっていて、それをおばあちゃんたちが乳首にぬっていたのが印象的でした(色素沈着に効くのでしょうか)。 以上、とにかく昔と変わらない湯と雰囲気を味わえる貴重な公共浴場でした。アウトドアの後などで、体を洗うためのお風呂に入りたい人には不向きですが、湯治場好き、硫黄泉好きにはたまらない温泉だと思います。 <2002.12, 2004.5> |