栃木、塩原温泉郷の11ある湯元のひとつ、元湯温泉は赤川湖畔に湧く温泉地で塩原発祥の温泉地です。ほとんどの湯元は上三衣塩原駅と那須塩原駅を結ぶ400号沿いにありますが、この元湯と新湯だけは、国道から山に入ったところにあります。 元湯には現在3軒の旅館がありますが、墨の湯と呼ばれる黒い湯が楽しめるのは、この大出館だけです。日本秘湯を守る会にも入っている大出館はRC造の4階建なのですが、山の斜面にあって入口が4階、部屋やお風呂は下階に下りる形になっています。窓の外眼下には箒川の支流赤川と他の2軒の宿があり、川までは山の中の道を10分ほどで下りられます。 お部屋は簡素な畳の部屋ですが、お風呂は男女別の内湯と露天風呂、家族風呂が1つ、混浴内湯と4部屋あります。混浴湯のみが墨の湯で、他は5色の湯という乳白色の湯です。 |
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1: 露天風呂には天候などによって色の変わる乳白色の湯が。 この日は、エメラルドグリーンがかった白濁でした。 2: 混浴内湯、右の浴槽が日本でここだけという珍しい墨の湯です。 夜20:00~21:00は女性タイムになっていますが、他の時間は実質男性用になっていました。 3: 左が5色の湯、右が墨の湯。白と黒の湯を交互に入れるのは本当に世界探してもここだけでしょう。 4: 女湯、高尾の湯。横に露天風呂があります。 濃い成分の蒸気のせいか、あちこちの浴槽は腐食し放題です。 |
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五色の湯の泉質は、含硫黄ナトリウム塩化物・炭酸水素塩泉、Cl-よりHCO3-が多く含まれいるのが特長です。 同じような色の硫黄系の湯は酸が強いことが多いですが、ここは中性の滑らかなお湯です。 墨の湯も、泉質名は五色の湯と同じ、含硫黄ナトリウム塩化物・炭酸水素塩泉ですが、鉄分が含まれているため、黒い色になるそうです。普通鉄系の湯は赤茶色になるのですが、硫酸イオンが多いせいなのか?謎です。 透明度は15cmほど、かなり濃い墨色の理由は細かい湯の花が浮いていて、底には粒子がたまっています。一見ざらざらしていそうな黒い粒ですが、これが触るとすっと細かく溶けるのはこれまた不思議でした。 |
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5: 家族風呂、特に予約制などではなく、空いてる時を見計らって「入浴中」の札をかけて入ります。 6: 浴室入口にかかった暖簾、「墨の湯」なども大きな暖簾がかかっていました。 7: 夕食はシンプルな旅館料理。ちょうど季節の鮎が出て嬉しかったです。 特別凝った料理というのではないですが、1泊2食付で8,000円~と考えると十分な内容でした。 |
旅館としては、建物も古いしそっけない湯治場風なのですが、とにかくお湯が素晴らしいの一言につきる宿でした。 お風呂のある1階に下り立ったとたん、廊下いっぱいにぷーんと硫黄の匂いが漂うのは 温泉好きにはたまらないと思います。 周辺には特に何もないし、本当にただひたすら湯に浸かって、休んでを繰り返す贅沢。また、秘湯の会とはいえ、塩原市街地や那須にも近いので、観光ルート中の1つの宿として一見の価値はある温泉だと思いました。 <2006.7> |