えびすやは、京都の北部、日本海沿いにある奈良時代からの歴史ある丹後最古の温泉地、木津温泉の中の老舗旅館です。兵庫の豊岡から出ている宮津線という超ローカル線でごとごと行った日本海沿岸に木津温泉はあります。歴史ある温泉地といっても、特に温泉街などがあるわけではなく、長閑な田園風景の中にぽつぽつと数軒の小型旅館が点在しています。 えびすやは、温泉教授の松田先生から「日本一の家族風呂」とその源泉掛け流しの家族湯を認定されたことと、松本清張が彼の代表作である「Dの複合」の執筆をしたことで知られています。 |
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1、2: 松本清張がここで小説を書いていたという書斎、レトロムード漂うシンプルな洋室です。 |
宮津線で、豊岡から30分、天橋立から40分ほどの木津温泉は、本当にのどかな田舎町。温泉駅らしく、ホーム横に足湯がありましたが、あとは正直駅前から何もありません。あるのは海水浴場と旅館が数軒。そのうち、駅からすぐに建つ老舗旅館がえびすやです。 外観はコンクリ造のよくある旅館風ですが、中に入ると昭和初期建築のレトロな雰囲気がなんとも素敵、松本清張がここで小説を書いていたというのも納得するような独特の雰囲気があります。 |
この旅館の素敵な所は、松本清張の書斎とレトロな雰囲気だけではありません。 やっぱり温泉、そしてなんと自噴源泉かけ流しを昔から行っていた、という所でしょう。壁には、温泉教授で有名な松田先生のおすすめの言葉が書いてありました。「日本一の家族風呂」だそうです(上の写真右下がその家族風呂)。 泉質は、弱アルカリ性単純温泉、無色透明のなめらか湯です。「日本一の家族風呂」というので、どんなすごいお風呂かと思いきや、意外にシンプルなタイル張りの湯で、確かに自噴というのは貴重だし、お湯もいいかもしれませんが特に温泉味が強い湯なわけでもなく、数多くの温泉を知った温泉教授がここを日本一としたのはちょっと不思議に思いました。やはり、色々な個性の湯はあれど、結局最後には体にやさしい素の湯に戻ってくる、ということでしょうか。 また、家族風呂以外は、男女別に大浴場と露天岩風呂が各1つづつあります。それぞれ定員10名ほどの大きさですが、混まないのでゆったりと浸かることができました。 |
左: 露天風呂は庭園風岩風呂です。 右: お食事は地の食材を活かしたもので、おばあちゃんちに来てご馳走を作ってもらったような印象を受けるご飯でした。 | ||
以上、お風呂といい部屋といい、料理といい、気張らずほどよい和み感が漂っていて、なんとも癒し系なお宿です。「日本一」を期待すると、あれ?となるかもしれませんが、そういう先入観を別にすれば、十分リラックスできるいい温泉でした。 <2004.12>
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