小田温泉は、黒川や満願寺、田の原温泉などの有名温泉地が沢山ある南小国町にあり、黒川温泉のすぐ隣、山間の小さな温泉地です。 温泉街があるような町ではなく、ごく普通の田舎町といった田園風景の中にぽつぽつと民宿や旅館が点在しています。 小田温泉の歴史は比較的新しく、昭和50年頃、ある人が毎夜に田圃からお湯が湧く夢を見るので、試しに近くの田圃を掘ったところ本当に温泉が出て、共同湯が作られ、発展してきた温泉地だそうです。 そんな小田温泉にぽつっと建つ、小田川沿いの宿、山咲は、小田温泉唯一の源泉かけ流しの温泉を楽しめるお宿です。全棟平屋作りの離れ宿は、全ての部屋の造りが違って、何度も泊まりに行きたくなるような工夫が見られました。 ![]() |
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![]() | ← 山咲の入口。 独特な外観のフロント棟、和風ベースだけどどこか異国情緒が漂う不思議な造りで和めます。 この宿、お部屋は全て離れになっていて、全て露天風呂付!その立ち並ぶ棟を連ねているのが、緑に囲まれた回廊です(下写真左)。古木を使い緑あふれるこの回廊は、たんなる移動通路でなく、散歩道として立派に通る人を和ませていました。 |
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お風呂は各部屋についているのと、露天風呂があります(上写真右)。男女別に2つあって、時間により男女入替え制になっています。 日帰り入浴がなく、泊り客も最高で8組、しかも各部屋に露天がついているので、あまり人と出会わないで貸しきり状態なのが嬉しいです。 お湯は、無色透明で滑らかな弱アルカリ性のナトリウム-炭酸水素・塩化物・硫酸塩泉。特に強い個性のある湯ではないですが、湯が流れおちている岩表面には赤茶色い析出物が。ひたすらまったりお風呂を楽しむための緑に囲まれた造りは、ぼーっと長湯するのに最適です。 | ||
![]() | ![]() | 左 : 食事処 2棟ある特別棟は部屋食だそうですが、それ以外の6組はこの食事処でご飯をいただきます。天井が高くて掘りごたつ形式、各組仕切りがある半個室型でくつろげました。 |
右 : 前菜 ここに泊まってびっくりしたのが、お料理がとても美味しいこと。なんとオーナー山崎さんは料理人で同じく料理人の弟と2人でこの宿を立ち上げたそうです。どうりで美味しいし、こだわりを感じるお献立。盛付けや器など見た目もきれいで、量もほどよく女性には特に嬉しいお食事でした。 |
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夜の露天風呂。 緑と夜空がきれい! こんな月夜の露天の後は、カウンターバーでお酒をいただきながら、オーナーと語らうのも素敵な時間です。基本的に離れに篭るお客さんが多いと思いますが、個人的に、カウンター前の窓に田園風景が広がるこじんまりしたラウンジが非常にお気に入りの場所になりました。 ![]() |
他のお客さんと会わないひっそりとした贅沢感、緑や花が自然に咲き誇る田園感(自然にというところがポイント、きれいに整備された庭園でもなく、でも野放しの野原というわけでもなく、ほどよく手入れされているのが素適)がすばらしいこのお宿。雰囲気・サービス・お料理ともに満足いく内容でありながら、あまり贅沢すぎない、手作り的な雑味があって、ほどよい距離感が心地よい隠れ宿でした。 黒川温泉は全国的にやたら有名になりましたが、小田温泉の方が小さな隠れ家的な贅沢感を味わえる宿が多いので、小田温泉に泊まって、日帰り探索や観光だけ黒川に行くというのも、1つの旅の選択肢だなと思いました。 <2005.7> |