夏油温泉は、北上の南西、奥羽山脈の山間、夏油川の渓流沿いにあり、約850年前の開湯で、江戸時代の温泉番付では西の大関が湯の峰なら東は夏油とまで言われた歴史のある湯治温泉です。近くに登山道の入口もあり、湯治客と登山客に愛されています。 知らないと読めないだろう「夏油(げとう)」という名前は、アイヌ語の「グット・オ(崖のある所)」からだそうで、確かに渓谷の崖沿いに露天風呂が点在しています。 夏油温泉には、3つの宿がありますが、この元湯夏油が一番大きい旅館で、秘湯の会にも加盟しています。旅館部(本館、別館、嶽館、駒形館)、自炊部(夏油館、経塚館、薬師館、紅葉館)と、自炊用の食堂や売店など沢山の棟が並んでおり、小さな集落のようです。 ![]() |
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1: 元湯夏油の自炊部の並び。昔懐かしい縁側のある棟もありました。 2: 疝気の湯は、川沿いの一番オープンな露天風呂です。壁も覆いもないので、本当に開放的。 |
元湯夏油には、4つの露天風呂と3つの内湯があります。本館で料金を払うと、きれいにスケジューリングされたそれぞれの浴槽の入浴時間表を渡されます。ここに、どの湯がどの時間帯に混浴なのか、女性専用なのか、はたまた珍しい男性専用なのかというのが分かりやすく書いてあります。 女性の場合、10:00~12:00もしくは16:00~18:00と2時間いるとちょうど全部の露天風呂を女性専用タイムで利用する事ができます(それ以外の時間は一部だけ)。 宿の並びを越えて、川沿いに階段を降りていくと、ぽつぽつと点在する露天風呂が。本当に自然のまま、お湯の湧いてきたところにあとから浴槽を作ったというだけあって、周辺の環境に馴染んでいました。 ちなみに、冬は豪雪に埋もれてしまうので、営業は5月中旬~11月中旬のみ、ただし、途中の夏油温泉スキー場は営業しています。 |
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3: 川を挟んで対峙する、真湯(手前)と女(目)の湯(川向こう) 4: 滝の湯は、川沿いですが屋内できれいです。 コンクリートの浴槽ですが、湯と環境がいいとそれも味があります。 5: 一番上流にあって眺めのよい大湯。 大湯と真湯は、男女別の入口+脱衣スペースがありますが、浴槽は一緒です。 6: 疝気の湯と真湯、目の湯の間は渓流を歩けます。水がさらさら冷たくて気持ちいい! 湯で熱くなったら、渓流でほてった体をひきしめて、という幸せの反復浴ができます。 7: 国民宿舎の夏油山荘、ここには大天狗の湯という内湯があります。 |
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たくさんの湯は、どれも湧いたそのままでちょっと熱め、入った時は滑らかで優しくても、後からしっかり体にくるお湯でした。それぞれの湯をゆっくり楽しむにはやはり泊まりがよいし、数泊すれば、かなり効果が出るように思いました。
また、バスタオルや水着は禁止、混浴にバスタオルを巻いて入っていたら、おやじさんに怒られました。ルールは尊重したいけど、じゃあ今すぐ、目の前で脱げってこと?とちょっとショック。実質、混浴=男湯になっているので、東北の湯はやや差別を感じることが多いです。最近、若い人を呼ぶためにタオルOKにしている宿も増えてきているなか、流石、歴史のある湯治宿だなあと思いました。 以上、北上の秘湯、夏油温泉でしたが、個人的に印象が残ったのは、渓流のきれいさ。単に透明な清流でなく、白っぽい水色のなんとも爽やかな色がさらさら流れる様は、見ているだけで癒されます。また、お風呂巡りだけでなく、日本最大の石灰華大ドームで国指定天然記念物にもなっている天狗の岩を見に行ったり、あちこちに湧く山の中の野湯にいったり、周辺の探索をしたいなあと思いました。お風呂ももちろん、周辺の環境含め、夏の避暑にお勧めの温泉でした。 <2006.8> |