湯屋温泉は、岐阜の下呂近くにあって、約500年の歴史のある山の中の温泉地です。 日本一とも言われる炭酸を多く含む湯で全国的に知られていますが、大洞川沿いの街道に宿泊施設が4軒ほどあるだけの鄙びた集落といった雰囲気の温泉地です。 その4軒のうちのひとつで、創業は約360年前という歴史があり、湯屋温泉の開湯を伝える「温泉湯元開源由来記」が家宝として代々伝えられているという湯元的旅館が奥田屋さんです。 とはいえ、家族経営の小さな旅館といった雰囲気のお宿で、現在は隣にある、日本秘湯の会に登録もされている宿、泉岳舘の方が知名度はあるかもしれません。 ![]() |
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やや古さを感じる館内には、15室の客室とお風呂と食堂、ロビーがあるだけの小さなお宿ですが、とにかくお湯が素晴らしく、その一言に尽きると思います。 お風呂は、男女別の内湯が各1つあり、露天風呂などはありません。女風呂は新しく改築したようすで石造り、川がすぐ横に見えるお風呂でした。 ![]() |
泉質は、含二酸化炭素ナトリウム炭酸水素塩塩化物泉、15℃ほどで湧いています。源泉は無色透明ですが、温めるとオレンジ灰色の湯の花を生じるそうで、やや緑っぽいようなオレンジいろっぽいような不思議な色のお湯でした。 味は甘い炭酸の味+ちょっとだけ鉄味、サイダーとして販売していたこともあるというお湯なだけあって美味しくたっぷり飲める湯です。しかも胃腸によく効くそう(浴室内ちゃんと飲泉口があり、また旅館の玄関にも飲泉所があります)。 |
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男湯をのぞいてみましたが、源泉(ぬるめ)温泉と加温した岩風呂の2浴槽があり、こっちの方が広いし源泉そのままの湯船があってうらやましかったです。 お湯の美味しさもさることながら、奥田屋旅館では料理がおいしく、とくに種まきから全部やるというこだわりのお蕎麦とそばがきがびっくりの美味しさで、それだけでまた泊まりに行きたいと思いました。 豪華な料理というより、家族経営だけあって、温かい田舎家庭料理というか、朝食には温泉水を使ったおかゆが出たり、しみじみと体に美味しい料理が嬉しかったです。 |
正直、建物はかなり古くて湯治の宿風なので、客室の雰囲気やきれいさにこだわる人はちょっと勧めにくいですが、それでも美味しい湯とお料理で一万円で泊まれるという納得のお宿でした。 <2004.7>
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