飯坂温泉は、福島のすぐ北にある歴史ある温泉地で、鳴子温泉、秋保温泉とともに、奥州三名湯のひとつに数えられていた名湯でもあります。 歩ける範囲の温泉街の中に、鯖湖湯、十綱湯、仙気の湯、切湯、導専の湯、大門の湯、八幡の湯、天王寺穴原湯、波来湯という9つの公共浴場があります。 特徴としては、昔からある浴場なので、シャワーなどはない共同浴場であるということ、そしてどこも温度がとにかく高く、飯坂町民は江戸っ子なみに熱い湯が好きという独自の温泉文化のある町でした。(ただし、一番新しく待ちのシンボルでもある鯖湖湯は、他よりぬるめの設定になっているそう。飯坂初心者はまずここからスタートするとよいと思います) |
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1: 町のシンボル鯖湖湯と、その前にあるお湯かけ薬師如来 2: 飯坂温泉街の朝風景、摺上川とその両脇に並ぶ旅館 3: 切湯入口は不思議な地下通路風。 4: 湯気いっぱいの切湯浴室、昔懐かしいタイル張りです。 |
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6: 導専の湯(どうせんのゆ)、昭和37年築。 7: 仙気の湯(せんきのゆ)、昔は切湯の川下にあったのが昭和42年に移築されました。ヘルニアに効く湯だそうです。 8: 波来湯(はこゆ)、切湯と川を挟んで反対側の川沿いにあります。 9: 飯坂駅前と芭蕉の像、横には摺上川が流れています。 10: 浴場脱衣室にあった掲示板、内容に感動です。 |
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街中にある浴場は、新しく出来た鯖湖湯と、少し離れた所にある天王寺穴原湯ともにわの湯以外、どれも昭和中期に建てられた懐かしい雰囲気のお風呂で、どこに入っても地元の人との会話がはずんで、おばあちゃんちに遊びに来たような気分が味わえるいい湯でした。(浴場に入るときに挨拶をするので、自然に会話が始まるのです) とにかくどこも湯が熱いのですが、皆平気で浸かっているのには感心しました。あちこちの公衆浴場にはってあったほほえましい表示(写真10)には「一般の方々は、熱いお湯が苦手ですので」とあり、飯坂町民は一般の人ではないのか、とちょっとおかしくて、また「入ってこられた時は、適温にするように」とありますが、その適温も43度となっていてかなり高めです。さすが飯坂町民、と思いました。 芭蕉の像が駅前にありましたが、みちのく旅の途中に芭蕉も入ったとされる、大和時代からの歴史ある温泉は、今も生活に浴場が深く根付いていて、新しい温泉街的な派手さはないにしてもしっとりと温泉を楽しめる素朴な町でした。とにかく外湯巡りと江戸っ子並に熱い湯が好きな地元の人たちとの交流が楽しい、ふらっと田舎に帰るようにまた行きたくなるような、そんな温泉地でした。 <2004.1> |