イギリス北部、Derbyshireに広がる丘と渓谷が独特の風景の国立公園、ピークディストリクト。 イギリスで初めて国立公園に指定された地区で、ムーア(荒地)とデイル(谷)という北イングランド特有の風景を楽しめる地区でもあります。また、その中に流れるダーウェント川沿いに、産業革命の最も初期の工場群があるということで、世界遺産『ダーウェント峡谷の工場群』に指定されています。 そんなイギリス独特な風景を楽しめる地区には、どこか日本の老舗温泉旅館を思わせるような、1802年創業の歴史ある温泉ホテルがありました。 ![]() |
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1: 中庭からホテルを見た所、後ろには、ダーウェント渓谷の岩肌が見えます。 2: 露天風呂ではなく露天温泉プールがロッジ横にあります。 |
このマトロック温泉の歴史ですが、今ホテルのある場所に昔から温泉が湧出していたそうで、最初にプールが作られたのが1698年。その後また別の源泉が見つかって、プールとロッジが作られたました。それがホテルとなったわけですが、創業1802年というのは、1802年の旅行ガイドに掲載された記録からということで、実際はもうちょっと古くから営業していたのかもしれません。 そんな歴史ある温泉ホテルの建物は、改築増築を重ねられたせいか、どこかの日本の古い旅館のように、部屋にたどり着くまで、くねくねと曲がった廊下や階段を上がったり降りたりの面白いつくりになっていました(エレベーターはないので、重いスーツケースを運ぶのはちょっと大変)。もちろん洋風建築なのですが、漂う雰囲気はなぜか老舗旅館に似ているような気さえしました。 |
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3: 屋内温泉プール。時折ヨーロッパの温泉に見られる半地下式です。 4: ゆったりとしたラウンジ、大きな窓の外は一面の緑でとてもリラックスできる空間でした。 |
さて、温泉ですが、庭に露天プール、半地下に屋内プールとサウナ、シャワーがあります。 宿泊客はいつでも利用可能ですし、外部からの利用も可能です。(露天プールは5月〜10月の営業) 最初から露天プールには期待をしてなかったのですが、予想通り、普通のプールの温度でとても入る気はおきませんでした。地元の人が、水泳教室に使っていたりしている公共プール状態で、しかもイギリスの夏である6月に行きましたが、みなウェットスーツを着て泳いでいました。 そして期待の内湯ですが、まず半地下のプールエリアが外部より室温が温かくなっていたので、これはいいぞと思ってプールの水を触ったら…やっぱりぬるい、というか冷たいに近い感じでがっかりです。 温度計を見たら31℃となっていて、それでも部屋が温かいので無理やり入って我慢大会のようになんとか10分ほど頑張りましたが、それが限界。また、プールに新しい温泉が注がれているパイプがあって、そこは温かいかと思いきや、そこも普通の湧水状態に冷たかったです。水の質はなめらかで悪くないし、雰囲気がいいだけに残念な内湯ならぬ内プールでした。 |
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5: 屋内プールの温度計、最高温度が31℃、最低は25℃。一応 25℃以上34℃未満ということで、 日本だとすると低温泉に分類されますが、日本なら加熱するところをそのままですから厳しいです。 6: スタンダードダブルルーム。クラッシックな内装で、ベッドの横にソファとテーブルがあり広さもそこそこ。 バスタブもあって一泊B&Bで80ポンド前後、普通の宿泊場所として悪くないです。 7: 世界遺産に指定されている工場群のひとつ、マッソン・ミルはホテルからすぐの所にあります。 |
のんびり温泉でほかほかまったり…と期待して泊りにいくと、正直がっかりする低温泉プールの宿でしたが、旅行中の宿泊ホテルのひとつとわり切れば、部屋にはバスタブがついていて値段の割に悪くないし、サービスも丁寧、朝ご飯もしっかりしているし(イギリスの割には)、ルームサービスもお手頃、そして全体の雰囲気はとってもゆったりしているので、十分納得のいくホテルだと思います。 一応イギリスのガイドには、お勧め温泉としてここが紹介されていたりするので、イギリス人のお風呂・温泉レベルの低さを実感できるという、微妙な特典も付いているこのホテル。どこか日本の老舗旅館のイギリス版といった雰囲気のお宿は、ピークディストリクトや世界遺産のミル観光の拠点として悪くないのでは、と個人的には思います。観光ついでに、イギリスの老舗温泉ホテルに泊った、というのも旅のネタとして面白いのではないでしょうか。 <2011.6> |