イギリスを代表する、上流階級御用達の温泉街ハロゲート。どこにあるかは知らなくても、なんとなくその名前を聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。 紅茶のブランド、Taylors of Harrogateの本拠地だとか、アガサクリスティの失踪事件の舞台だとか、歴史があるだけあって話題にはつきない街でもあります。 そんな温泉街には、昔からいくつもの泉がわき出ているのですが、ロイヤルバスができたのが1897年。他にもスパが幾つかつくられましたが、昔のままの形を現存しているのは、ロイヤルバスの一部を保存した形で残しつつ2004年に再オープンしたTurkishBaths(トルコ風呂=ハマム)のみだそう、ということで、早速その歴史あるトルコ風呂へ出かけてきました。 |
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1: 19世紀に上流階級の社交保養場として栄えた名残か、今も街中に花が咲き誇り、 高級そうなインテリアショップが並んでいたり、優雅な雰囲気が漂う街での散歩は楽しいです。 2: TurkishBathsの入っているRoyal Bathの正面。現在正面は高級中華レストランになっています。 |
まずは予約からスタート。ここは、曜日と時間によって、男女別もしくは一緒の時間帯が分かれているので、希望の時間帯を決めて電話で予約します。よほど混んでいるシーズンでなければ、数日前でも予約できるようです。 当日は、水着だけ持って(男女別の時間帯は水着なしも可)受付へ。後は、初めてだと言えば全て流れを教えてくれます。大きなバスタオルを1枚渡されて、更衣ブースで準備をして、ロッカーに荷物を入れて(1ポンドコインが必要、返却されます)、あとは自由にセッションの終了タイムまで好きにすごせます。 |
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3: レセプションと横のカフェ、石造りの古い建築の中はリニューアルされてシンプルモダンに。 4: トルコ風呂に入るとまたレトロな雰囲気に。トイレや流しまでいい味だしてます。 |
館内には、入口受付の横にラウンジカフェ、更衣ブース、ドライヤーコーナー、ロッカー、休憩エリア、ドライサウナ(高温・中温・低温)とスチームサウナ、シャワーとプランジプール(冷たい浴槽)、スパトリートメントルームがあります。基本は、シャワー→サウナ→シャワー→プール→サウナ…休憩、という流れで自由に移動して、あとは追加でマッサージなどを頼むことができます(事前予約)。 さて、TurkishBaths(トルコ風呂)のHotRoomは、一応それぞれにTepidarium (低温)、Calidarium (中温)、Laconium (高温)という名前もついていますが、壁で隔たれた3つの部屋ではなく、布のカーテンで仕切られた3つのエリア、という感じになっていました。一番高温エリアで68℃、熱いフィンランドサウナに慣れた人にはやや物足りなさを感じる温度ですが、椅子や壁がしっかり温まって熱くなっているので、ごろんと横になったりすると、岩盤浴のように伝導熱でかなり体は温まります。また、スチームサウナも、アロマとスチームもくもくで癒されました。 |
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5: トルコ風内装が気分を盛り上げてくれる休憩エリア。 6: 3つあるサウナの一つ、低温のTepidarium。 タイル張りの壁、モザイクの床、木のドアに布カーテンという独特な空間です。 |
温まったらプランジプールへ。残念ながら、この浴槽は温泉水でなく普通の水のプールです。とはいえ、サウナの温度に合うほどよい冷たさと自由に動ける深さのある作りは好印象でした。 何度か温冷浴を繰り返したら、休憩エリアでごろ寝が最高です。このエリアのベッドは、背もたれのクッションがほどよく背中にフィットして、リクライニングチェアのような姿勢でゆったり本を読んだりのんびりすることができました。まさに日本の温浴施設の休憩室と一緒ですが、高い天井にトルコ風モザイクなど、なにしろ雰囲気が優雅です。 また、マッサージなどのトリートメントを予約している場合は、ここにスタッフが呼びに来てくれます。もし事前に予約をいれるなら、最低でも1時間、出来れば2時間はトルコ風呂エリアでゆっくりする時間を考えて予約時間を決めることをお勧めします。 |
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7: サウナ内にある飲める水のでる流し。配管からしておしゃれに見えてしまうのはイギリスだから? 8: 窓からの光が明るいプランジプール。深さ130cmほどとほどよくぷかぷかできます。 9: サウナ室の窓からシャワーエリアを見た所。 |
温泉街ハロゲイトの歴史を守る伝統的スパは、イギリス人にとっては珍しい施設かもしれませんが、日本人にとってみたら日本のサウナや温浴施設とほぼ変わらない形で、まるでイギリスにいるのを忘れるほど。2~3時間もあれば気軽に利用できるで、ハロゲイトに行く機会があれば、是非体験することをお勧めしたいと思います。
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10: ロイヤルパンプルーム外観。ガラス張りのテラスルームのような作りです。 11: 中にある硫黄泉の展示、昔ながらの様子を再現した人形もセットされています。 2重ガラスを超えてなおその強い香りが漂ってきていました。 12: ハロゲートに来たら、ランチはBetty'sで。イギリスらしからぬ美味しいパンや軽食、 正式なアフタヌーンティーなどを楽しめます。お土産品も充実で紅茶やクッキーがお勧め。 観光客というより地元のイギリス人でつねに行列が出来ているほどの人気店です。 |
また、ここでくつろいだ後、これまた是非立ち寄ってほしいのは、Royal Pump Room Museumです。パンプルームとは、ヨーロッパの上流階級用温泉地には必ずある社交場ですが、今もこの中に硫黄泉が湧いているのです。温泉街やスパの歴史の展示はそれはそれで非常に興味深いものなのですが、何よりもこの硫黄泉を飲むことができるので、温泉好きなら是非トライしてほしい、というのも本当にすごい強烈な匂いと味の泉なのです。強い腐卵臭と独特の塩味と強い苦みのある水は、温泉大国日本でもそうはない強烈な物。必死に飲んでいる私を見たイギリス人観光客は、みなよくこんなのを飲めるねと感心して(というか呆れて)いました。これだけ強い温泉なら、浸かったら体にとても効きそうなのに・・・と飲泉しかできない事が残念でもありました。とにかく、優雅な街の雰囲気と、それとはかけ離れた強烈な匂いの温泉が対照的で、印象に残る素敵な温泉街でした。 <2011.8>
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