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温泉コラム : heavenly-spring.com

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温泉コラム
温泉についてがふと思ったことや、調べたこと、
温泉の雑学などなどをつれづれと綴ったコラム集。
ほぼ月刊で更新していく予定です。
NO.3: 温泉本紹介 『温泉地再生』
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こんにちは、自称温泉人(Onsenist)、温泉広報人の春山ゆかりです。
今月は、最近読んだ温泉本の中で、
そうそう、そうだよね〜、と共感できた本をご紹介します。

その名も『温泉地再生』
頑張る日本各地の温泉地レポートは、
旅館などの温泉関係者だけでなく、
地域活性化の担当者や町づくり関係の人にも
お勧めしたい一冊でした。

◆◆◆◆◆

温泉地再生 地域の
知恵が魅力を紡ぐ
全国各地から、面白い運動や地域活性化方針が見られる
11の温泉地を取り上げ、その活動例を紹介しつつ
また、そんな動きを牽引するリーダー7人へのインタビューにより
今後の温泉地の方向性を探る本書。

事例紹介やインタビュー、データ解説などがメインなので
専門書的な固さはなく、資料集のようにさらっと読めて
それでいて、「そうだよね〜」と改めて納得させられる
キーワードがあちこちに散りばめられていました。


まず、そもそも日本人の旅行目的の常に1位に君臨する「温泉」、
それだけ人気コンテンツであるにもかかわらず、
あちこちの温泉地が衰退化、老舗旅館が倒産していくのは何故か。

色々理由はあれど、結局は「温泉」が「温泉地」にしかなかった時代は終わり、
都心でも十分温泉旅気分を味わえる施設が出来てしまったこと、
そしてそこからの差別化が出来ていないことが
大きな原因だと著者は語っています。

結局は、「温泉」という物があまりに身近になってしまって
「コモディティ化(日用品化)」している、ということで
遠くの温泉地まで人を呼ぶには、それなりの付加価値が必要、という
ある意味当たり前というか、納得の内容です。

で。
結局は、その付加価値って何?どうしたらいいの?
ってことが重要になるのですが、
その参考例として、各地の活動が紹介されています。

紹介されているのは、
知床ウトロ温泉の「オーロラファンタジー」や、別府温泉の「オンパク」、
赤倉温泉の「親切温泉宣言」、四万温泉の「探四万展」などなど。
その活動例も、住民と共に地域活動として発展したパターンや
外部からの目で新しい活動が生まれたパターンなど様々で、
結局は、その地区その地区によって
効果的な活性化手法は違うし、それを模索していくことが大切で
単に、黒川温泉の湯めぐり手形を真似ればいいわけじゃないよ、という
厳しめの指摘も含まれているようでした。


では、どうしたらオリジナルの活動が生まれるのか。
そこはやっぱり「マンパワー」、熱い思いをもった人が必要、としています。
そこで、魅力ある温泉地を作り出す原動力になった
リーダー7人のインタビューとなるのですが、
これまた人それぞれで結構考えが違うのです。

草津町町長、中澤さんが「とにかく町の魅力がアップすれば
宿泊施設もよくなる」という考えで、それが王道かと思いきや
星野リゾートの星野さんは、「魅力ある旅館を作る方が先、
そこから地域が活性化していく」と言う。
天空の森、雅叙園主人の田島さんが
「温泉地は冬の時代、当分ダメ」と敷地内で完結した世界を作り出し
はたまたハワイアンズの坂本さんは
完結したリゾートから外との連携を強めていく方向だという。

活性化手法も様々、リーダーの方向性も様々。
結局どの温泉地にも効く万能薬はないってことですが
逆に色々な手法、色々な方向性があるということが、
温泉地の未来の可能性の大きさを感じさせてくれる、
そんな後味のよい読み口の温泉本でした。


最後のまとめで、魅力ある温泉地作りにかかせないものは3つ
①その土地への誇り
②それを牽引する人、そして
③お客が求めるもの、マーケットを読む力、直観力、
と著者はしめくくっていました。

結局は、いい泉質の温泉があるとか、立地条件がいいとか
そういうことは実は致命的ではなく、
いかにその温泉地に「愛」を持った人がいて
その人が動きやすい状況があるか、ということの方が
活性化には重要だ、という結論は、
温泉地だけでなく、日本各地の地方観光地にも
共通して言えることなのでしょう。


◆◆◆◆◆

『温泉地再生』
温泉地再生—地域の知恵が魅力を紡ぐ(amazonへ)
2008年6月30日 第一版第一刷発行
著者 久保田美穂子
発行 学芸出版社
定価 2,100円

<2008年10月>



◆過去のコラム
No.1 極楽温泉とは「愛」 −極楽温泉とは何なのか?
No.2 世界の温泉マーク 湯気のマークは世界共通?
No.3 温泉本紹介 『温泉地再生』 
No.4 スパメニューの基礎知識 マッサージ用語入門
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