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新北投温泉 逸邨大飯店(星乃湯) : heavenly-spring.com

新北投温泉 逸邨大飯店(星乃湯)

新北投温泉 逸邨大飯店(星乃湯)
新北投温泉は、台北中心部から一番行きやすい、とっても手軽かつ素敵な硫黄臭のただよう温泉地です。台北駅からメトロで30分程度で到着してしまう、東京で例えると大江戸温泉に行ってくる!という感じの気軽な温泉地で、その奥の方に建つ星乃湯は、昭和天皇も宿泊されたという、日本式の温泉旅館です。
温泉街は、駅前すぐのところから、川に沿って長細い北投公園が温泉地の奥に向かって広がっていて、その両側の道に、大型の温泉旅館や集合住宅が並んでいます。公園の中には、公共露天風呂や足湯、温泉博物館などがあり、硫黄の匂いがぷんぷんの温泉の川からの湯気と台湾の暑さで、昼間は歩いているだけでサウナに入っているような感じがしました。

★★★
★★★★☆
★★☆
★★☆
★★☆
台北市北投區温泉路140号
02-2891-2121
入浴料金 :  300元(≒1050円)
行き方
台北駅からMRT(地下鉄)赤い淡水線(もしくは新店線・中和線)の北投駅で新北投行きに乗り換え新北投駅へ、駅前からは歩ける範囲に温泉街が広がっています。
1. 2.
1: 新北投駅の前 大きな門の後ろが駅です。
   温泉地といっても都心に近いので、駅前は比較的栄えていて、
   セブンイレブンやファミマ、KFCなどがありました。
2: 温泉博物館は駅から10分ほど、公園の中にあります。
   このレンガ造の素敵な洋館は、東アジア最大級と謳われた公共浴場(男性用)だったそう。
   とっても楽しみにしていたのですが、月曜休館で入る事ができませんでした。残念。
新北投温泉は、1894年ドイツ人によって発見され、1896年、大阪商人の平田源吾が、この地に台湾最初の温泉旅館「天狗庵」を開いたのがはじまりだそうです。 日露戦争時に、負傷兵がここで温泉治療し、陸軍療養所が建てられて後、日本統治時代に温泉街として発展しました。第二次世界大戦以後(日本が台湾から撤退した後)、政府公認の置屋=公娼制度がある歓楽街となりますが、1960年後半、ベトナム戦争で駐留するアメリカ兵、日本からの売春ツアー客が急増し、1979年、蒋経国により表向きは公娼制度は廃止となり、総統陳水扁(台湾大統領)が台北市長の時代に新北投の置屋も撤廃されたという、生生しい歴史のある町です。

日本統治時代から栄えていたせいか、日本風の瓦屋根の家が残っていたり裏路地にはなんとも懐かしいような趣があり、温泉地の中央部は公園を中心にして、これまた日本風?な大型温泉旅館が立ち並んでいます。ここが日本じゃないっていうのが、逆になんとも不思議な感じがしました。

3. 4. 5.
3: 温泉の川が流れる公園横にある公共浴場滝の湯、昔ながらの銭湯風です。
4: 公園の柵にも温泉マークが入っていました。日本より多めの5本の湯気がたっています。
5: 駅から細長い公園に沿って奥へ歩いていくと、つきあたりに
   大型の温泉施設「水都温泉館」に辿り着きます。
星乃湯までは、公園沿いの道をひたすら駅を背にして奥へ歩いていきます。公園の反対端に着くと、目の前には豊富なお風呂で有名な「水都温泉館」が見えます。(写真5)
ここは、露天風呂や日本式のお風呂、SPAがあるということで、入っていこうかと思ったのですが、日帰りで800元(≒2800円)という値段で断念してしまいました。
水都温泉会館の公式HPはこちら

そんな水都温泉館の前で右に曲がって、ひたすら道沿いに歩いていくと、京都温泉館があります。更にそのまま温泉路を行くと、看板が現れるので、その通りに行けば星乃湯に到着です。駅からはふらふらと余所見をしながらで徒歩30分ほどかかりました。
6: 星乃湯の廊下、微妙な和風テイストです。
   廊下の奥からは、泊まり客(台湾人)の宴会カラオケが響いていました。そんな所も日本チック。
7: 部屋は古いながらもきれいに掃除してありました。一人旅には十分な広さです。
6. 7.
やっと到着した逸邨大飯店(星乃湯)は、昭和天皇も宿泊されたという格式ある宿だと聞いて期待しすぎていたせいか、予想より鄙びた造り、かなり傾き気味な温泉旅館といった様子で、正直ちょっとがっかりしました。
入り口を入るとフロントがあり、その横の微妙な円形ソファーで靴をスリッパに履き替えさせられます。玄関の敷居というか、段差がないのに、日本時代の名残で靴を脱がせられるのが不思議な感じがしました。

ちなみにここで1泊、休日料金で2400元(≒8400円)。高いなと思ったのですが、天皇も泊まったからには室内はきれいなのかも・・・と期待して泊まることにしました。(ちなみに台湾で温泉旅館にシングルルームはほぼないので、1人でも宿泊代は2人部屋料金になります)
8. 9.
8: 広々した男湯、きれいな白濁湯のお風呂です。
   ここが一番のお気に入りでした(といっても男湯なので入れないですが)
9: 昔の名残で、鯉の泳ぐ日本庭園風中庭がありました。

10: 壁にかけてあった手書きの温泉表示。
   新北投の温泉街の公共浴場の湯は強酸性ですが、
   ここは硫黄だけでなくラジウムも含まれて、やや酸も弱めです。
11: 女性用内湯はこれだけ。男湯との大きさの差に、さすが昔の日本の宿・・・と思いました。
12: 夜ご飯を食べる場所がなくて困っていたら、親切なおばちゃんがラーメンを作ってくれました。
   しみじみ美味しかったです。
10. 11. 12.

お部屋はきれいに掃除してあり、浴室付で割と広かったです。そしてタイル張りの部屋風呂の蛇口をひねると硫黄臭のするお湯が出てきました。部屋でしっかりと温泉に浸かれるのは嬉しかったです。
しかもかなり強い匂いで、ちょっとお湯を出しただけで、部屋中が湯畑の中にいるような匂いになってしまってびっくりしました。温泉好きにはいいかもしれませんが、そうでないと匂いに酔ってしまうかもしれません。

お風呂は、男女別大浴場があって自由に入れます。女性用浴場は・・・入ってがっかり、家族風呂程度の大きさで、窓もなく脱衣場もなく、やられたっ!と思いました。ここだけ見たら、高級旅館どころかそこら辺の田舎の公衆浴場といった感じです。
泉質は、「白礦」と呼ばれる乳白色の硫黄泉。やや黄色っぽい灰白色濁で、もちろん源泉かけ流し、滑らかでお肌がすべすべ、やわらかな酸味のあるお湯です。少し細かい湯の花も浮かんでいました。

あと、こっそり男湯をのぞいてみました。こちらは女湯よりかなりゆったりした造り、庭に面した窓もあって、段違いに雰囲気がよかったです。こんな男女差があるところも、日本統治時代の名残なのでしょうか・・・。ちなみに日本統治時代は、高級官僚らが会議などを行うのに利用されていて、台湾人は入ることができなかったそうです。

以上、日本に由縁のある温泉宿でしたが、たまたまほとんどお客さんがいなかったので、ゆったりとお風呂を貸切状態で利用できたからよかったとは言え、正直コストパフォーマンスを考えると微妙な温泉宿でした。(ただ、おばちゃんたちはとっても親切で、夜ご飯を食べそこねた私に、ただでラーメンを作ってくれたりしましたが)
まあ、台湾にいて、日本風宿でまったり温泉+飲み+カラオケで接待、なんていうおじ様方にはいい宿なのではないでしょうか。
この空き具合だとそのうち傾いていきそうだし、昭和初期時代の日本文化保護という意味もこめて、日本からも資本をいれるなどしても是非保存してほしい、そんな宿でした。  <2005.7>