メキシコシティの北、車で3時間ほどの所に世界遺産にも登録されたコロニアルタウン、ケレタロがあります。その手前、メキシコ州とケレタロ州に挟まれたイダルゴ州は、実は隠れた温泉の宝庫で、TequisquiapanやHuichapanのような、街道沿いに沢山の温浴施設(といっても、ほぼ野外プール。沢山あるプール浴槽のうちいくつかが温かい、という物がほとんどです)が並んでいる町があったり、温泉ホテルがあったりします。 そんなイダルゴ州の山奥に、間欠泉があると聞いて行ってきました。 乾燥した山間にぽつりとある施設には、遠くから見ても分かるほど湯気がもうもうとたっています。周辺に家などの人工物は何もなく、街道から外れた山あいの谷間にひそむ温泉は、まさに秘湯といった趣でした。 |
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1: 街道外れの田舎道から施設を見下ろした所。湯気がたっている所が間欠泉プール 右側の建物は新しく出来た娯楽プールエリア、他駐車場などが見えます。 2: 新しいアミューズメント系のプールエリア。 |
ダート道を谷間に向かって降りていくと、ゲイシールの入口にあたります。駐車場には中型バスも何台か停まっていて、春の娯楽シーズンに行ったせいか、予想外ににぎわっていました。 ゲイシールは、露天の温泉プールがいくつもある温泉公園で、間欠泉横の旧プールエリアと、坂を少し登った所に新しく出来た新プールエリアの2つに別れていました。また、ちょっとした売店、カフェがあり、宿泊施設も一応あります。が、日本人が気軽に泊まれるような雰囲気ではなく、かなり清潔さが疑問な、本当に湯治のロッジといった感じです(1泊250~350ペソ)。また、テントを張ってキャンプ的に泊りこんでいる人も多かったです。 |
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3: 温泉蒸気が吹き込む洞窟(岩のくぼみ)は、天然のスチームサウナ状態です。 4: リゾート風のプールエリアには、展望カフェ(正面の建物)があります。 |
さて、早速温泉へ。あたりは硫黄の香りがぷんぷんする中、水着に着替えてプールへ向かうと、すごい蒸気を噴出すパイプが目に留まりました。そのまま近くで触ったら確実にやけどしそうな95℃のスチームが恐ろしい量噴出して、10m位先まで白い湯気を撒き散らしています。噴出口からほどよい距離の所に、蒸気にあたるためのスペースが出来ていて、半洞窟のような岩のくぼみで天然のスチームサウナが出来ていました。 また、蒸気だけでなく、お湯も素晴らしい量がごんごんと湧き出していて、あちこちのプールへと流れ込んでいます。もちろん源泉掛け流し、湧いたまま浴槽へ流し込んでいるので、温度は自然のまま、湧出口からの距離で熱いところは50℃近く、ぬるい所は25℃ほどと様々です。 |
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5: 古いほうのプールエリア、メキシコのあちこちで見られる水道橋を模したような配湯管から 打たせ湯のように湯が流れ込んでいます。 6: 大元の湧出パイプ、すごい熱気で近寄れませんが、硫黄臭がぷんぷんです。 7: 新エリアの上から谷間を見下ろした眺め。緑はあれど、やはり乾燥しています。 8: かわいいメキシコの子供たち。 どこでも温泉プールには、年配湯治客やカップル客より、圧倒的にファミリー層が多いです。 |
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広々した公園の中で、古い方のエリアは湧出場所から近いため、かなり熱い浴槽もあって、45℃前後、42℃、40℃と温度違いでいくつも浴槽がありました。とはいえ、こちらはエリアの隅にある湯治向けの小さなもので、メインプールは30℃前後の娯楽プールです。水道橋のような配管から湯が降り注ぎ、子供たちは浮き輪して泳ぎ、若者たちはビーチボールで遊んでいる、そんな浅いプールですが、そこでも湯は十分、温泉味たっぷり。かすかに灰色に濁ったようなとろんとした硫黄の湯は、肌になめらかな、つるつるしました。 新しいプールエリアは、そこまで温泉らしさは感じませんでしたが、それなりに温かかったり、打たせ湯があったり、眺めもよいのでアクアリゾート感覚で利用できます。また、最近子供向けプールエリアが拡張されたようで、スライダーなどが追加され(メキシコのアクアパークにスライダーは付き物です)、また家族風呂も出来たようです。あまり娯楽的な拡張路線は喜ばしくはないですが、この新鮮な硫黄湯を家族風呂でのんびり楽しめるのは純粋に嬉しいと思いました。 以上、イダルゴの山間にあるゲイシール、ただ温かいだけであまり温泉らしさを感じない施設やぬるい温泉が多いメキシコで、しっかりと硫黄の香りが漂う濃い新鮮湯を楽しめる、個人的にお気に入りの温泉でした。多少アクセスの分かりにくい場所にありますが、実際はシティから車で3時間弱ほど、ついでに近くの温泉街も寄れる場所なので、気軽な週末日帰り温泉ドライブに是非お勧めしたいと思います。 <2007.5> |